ストーカー規制法の活用

配偶者や元配偶者が、別居や離婚をした後に身辺をはいかいしたり、
復縁を求めて何度も強迫めいた電話やメールを送信することはよくあります。

そのようなことが何度も執拗に繰り返されれば、本人のみならず、
周りの家族にとっても大変迷惑となり、大きな精神的負担となります。

そういった、DV防止法でカバーできないケースを補うものとして、
ストーカー規制法という法律があります。

ストーカー行為は、法律上の夫、妻の行為あっても規制の対象になります。
「自分は夫だから、妻だから罪名に触れず大丈夫」ということにはなりません。
 

ストーカー行為とは?

  • 特定の者に対する恋愛感情、その他好意の感情
  • または、それが満たされなかったことに対する怨念の感情

以上の感情を充足する目的で、以下に掲げるストーカー行為を行なえば、
警告、禁止命令が発令され、命令違反者には50万円以下の罰金刑が科されます。

ストーカー規制法2条1項が規定するストーカー行為

  1. つきまとったり、待ち伏せをしたり、進路に立ち塞がったり、住居、勤務先、
    学校その他、その通常所在する場所の付近において見張りをしたり、住居に
    おしかけたりすること。
  2. その行為を監視していると思わせるような事項を告げたり、それをその知りえる
    状態におくこと。
  3. 面会、交際、その他義務のないことを行うことを要求すること。
  4. 著しく粗野または乱暴な言動をすること。
  5. 電話をかけて何も告げず、または拒まれたにも関わらず、連続して電話をかけ、
    ファックスを送信し、もしくは電子メールを送信すること。
  6. 汚物、動物の死体その他著しく不快または嫌悪の情を催させるようなものを
    送付したり、それを知り得る状態におくこと。
  7. その名誉を害する事実を告げたり、それを知り得る状態におくこと。
  8. その性的羞恥心を害する事項を告げたり、それを知り得る状態においたり、
    その性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付したり、それを知り得る
    状態におくこと。

 

ストーカー行為があった場合の対応

ストーカー行為罪は、被害者の申告がなければ罰せられない犯罪(親告罪)です。
ストーカー行為があった場合には、証拠を揃えて、次のような対処をします。

警察本部長による警告の発令

警察本部長等は、ストーカー行為を認め、さらに反復の可能性を認めた場合、
その者に対し、ストーカー行為をしてはならない旨、警告を発します。

警告の申出は、被害者の住所(居所)、加害者の住所(居所)、そして、ストーカー
行為が行なわれた場所を管轄する警察に申し出をすることができます。

警察本部長は、警告をしたときは、速やかに当該警告の内容および日時を申出者
に通知をしなければなりません。

警察本部長は、申し出を受けても警告をしなかったときは、速やかに、その旨と
警告をしなかった理由を、申出をした人に書面で通知をしなければなりません。

公安委員会による禁止命令の発令

警察から警告を受けたにもかかわらず、相手がストーカー行為を止めない場合、
公安委員会が禁止命令を発令します。禁止命令違反者には刑罰が科されます。

禁止命令発令の申し出は、警察本部長等だけでなく、ストーカー被害者自らも、
公安委員会に対して申し出をすることができます。

公安委員会は、禁止命令を発令したときは、速やかに当該禁止命令の内容および
その日時を申出者に通知をしなければなりません。

公安委員会は、申し出を受けても禁止命令を発令しなかったときは、速やかに、
その旨とその理由を、申出をした人に書面で通知をしなければなりません。

警察本部長等による仮の命令の発令

緊急の必要がある場合、警察本部長等はストーカー行為者に聴聞や弁明の機会を
与えることなく、仮の禁止命令を発令することができます。

仮の命令の効力は、発令から15日とされ、その15日間の間に公安委員会が
ストーカー行為者に対して意見の聴取を行うことになります。

この仮の命令に対しては、行為者に対する手続き保証がない点に批判が多くあり、
実務上も2005年に1件発令されただけで、法律は「死文化」しています。

警察本部長等の援助

警察本部長等は、ストーカー被害を自ら防止するため援助を受けたい旨の申し出が
あり、その申し出が相当であると認めるときは、

被害を自ら防止するための処置の教示、その他国家公安委員会規則で定める
必要な援助を行わなければなりません。

ストーカー行為による被害を効果的に防止するためには、警察の取り締まりだけで
なく、その被害者に対し自衛策や対応等の防犯指導が必要となります。

そこで、ストーカー規制法施行規則12条は、警察本部長等による援助の内容を
次のように定めています。

警察本部長等による援助の内容
  • 申出をした者が、被害防止交渉を円滑に行えるよう必要な事項を連絡すること。
  • ストーカー行為等をした者の氏名及び住所その他の連絡先を教示すること。
  • 被害防止交渉を行う際の心構えや交渉方法などの助言をすること。
  • 被害の防止に関する活動を行っている民間の団体や組織を紹介すること。
  • 被害防止交渉を行う場所として、警察施設を利用させること。
  • 被害の防止に役立つ物品を教示したり、防犯ブザーの貸し出しをすること。
  • 警告、禁止命令等を実施したことを明らかにする書面を交付すること。
  • その他、被害防止のうえで適当と認める援助を行うこと。

ここでは、被害者が加害者との間で被害防止交渉を行うことが念頭におかれ、
警察による話し合いの調整、助言、警察施設利用がその内容となっています。

刑事告訴

ストーカー行為は、列記とした犯罪行為です。ストーカー行為者には、
刑法上、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

悪質なストーカー行為が頻繁に繰り返されているのであれば、
証拠を揃えて、直ちにストーカー行為者を刑事告訴することも可能です。

ストーカー行為をする者に罪の意識はありません。
逆に被害者意識を持ち、こちらが悪いと思っているのが普通です。

ストーカー行為は、自ら被害を訴えなければ処罰をされない親告罪です。
悪質な被害を受けた場合には、躊躇することなく、すぐに警察へ相談して下さい。

ストーカー行為には毅然と対処し、それがいけないことだということを、
公の機関を通じて早く認識させることが、被害を食い止める上でとても重要です。

お気軽にお問い合わせください。084-963-2351受付時間 9:00-19:00 [ 土・日・祝日OK ]

お問い合わせお気軽にお問い合わせください。
  • Facebook
  • twitter
  • Hatena