離婚の慰謝料の時効は何年?期限の起算点や時効を止める方法を解説

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離婚後の生活が落ち着いてくると、ふと「やはりあの時の慰謝料を請求したい」と考えることがあるかもしれません。
しかし、法的な金銭請求には必ず期限が存在しており、それを過ぎてしまうと受け取れるはずの権利を失ってしまう可能性があります。

離婚の慰謝料に関する時効は、原則として「離婚が成立してから3年」と決まっています。
この期間を過ぎてしまうと、相手が「時効だから払わない」と主張した場合、法的に取り戻すことが非常に難しくなります。

この記事では、離婚の慰謝料における時効の仕組みや、いつからカウントが始まるのかといった具体的なルールを詳しく解説します。
不倫やDVといったケースごとの違いや、期限が迫っているときの手続きについても整理しました。

最後まで読んでいただくことで、ご自身の状況で時効がいつまでなのか、そして今どのような行動をとるべきかが明確になるはずです。
大切な権利を守るために、まずは正しい知識を身につけることから始めてみましょう。

記事のポイント

  • 離婚慰謝料の消滅時効は原則として離婚成立から3年であること
  • 離婚の種類によって「離婚が成立した日」の定義が異なること
  • 不倫相手への請求やDV被害などケースによって期間が変わる場合があること
  • 内容証明郵便や裁判上の請求によって時効の進行を止められること

離婚での慰謝料請求と時効の基本

  • 3年で成立する消滅時効の考え方
  • 離婚成立日の定義と起算点のルール
  • 協議や調停など種類別の成立時期
  • 不貞行為の慰謝料との法的な違い
  • 不倫相手への請求期限に関する注意
  • DV被害による損害賠償の期間
  • 20年の経過で権利が消滅する除斥期間

3年で成立する消滅時効の考え方

離婚に伴う慰謝料請求権は、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求権」として扱われます。
この権利には期限があり、原則として損害および加害者を知ったときから3年が経過すると、消滅時効が成立します。

結論から申し上げますと、離婚慰謝料の場合は「離婚が成立した日」から3年以内に請求を行う必要があります。
この3年という期間は、法律の世界では比較的短い部類に入ると考えられています。

なぜ3年という期間が設定されているかというと、法的な安定性を保つためです。
いつまでも古い問題を蒸し返せる状態では社会が混乱するため、一定の期間で権利を消滅させる仕組みになっています。

以下の表は、離婚慰謝料に関する時効の基本的な期間をまとめたものです。
ご自身の状況と照らし合わせて、まずは全体のイメージを掴んでみてください。

項目 期間(原則) 備考
消滅時効(短期) 3年 離婚成立日からカウントされます
除斥期間(長期) 20年 不法行為が行われた時からカウントされます

このように、基本的には「3年」という数字を強く意識しておくことが大切です。
気づかないうちに期限が迫っていたというケースも少なくないため、早めの行動が推奨されます。

ただし、この「3年」という数字はあくまで一般的な目安であり、具体的な状況によって判断が分かれることもあります。
正確な情報の確認や最終的な法的判断については、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。

時効が気になる際にまず確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 離婚届が受理された、あるいは判決が確定した日付
  • 不倫などの事実をいつ知ったのかというタイミング
  • これまでに相手に対して請求の意思表示をしたことがあるか

離婚成立日の定義と起算点のルール

時効を考える上で最も重要なのが「いつから3年を数え始めるのか」という点です。
このスタート地点のことを専門用語で「起算点(きさんてん)」と呼びます。

離婚慰謝料の請求において、起算点は通常「離婚が成立した日」となります。
これは、離婚という出来事によって精神的苦痛(損害)が具体化し、相手が加害者であることが確定するためです。

例えば、長年不倫をされていたとしても、離婚をせずに婚姻関係を続けている間は「離婚による苦痛」は発生していません。
離婚という結果が生じて初めて、離婚に伴う慰謝料の請求権が誕生し、時計の針が動き出すという仕組みです。

具体例を挙げますと、2021年4月1日に離婚が成立した場合、時効が完成するのは3年後の2024年3月31日の終了時となります。
この日を1日でも過ぎてしまうと、相手方が時効を主張すれば、もう慰謝料を支払ってもらえなくなるリスクが高まります。

私たちが注意しなければならないのは、不倫やDVそのものに対する慰謝料と、離婚したこと自体に対する慰謝料が混同されやすい点です。
実務上、これらは「離婚慰謝料」としてひとまとめに請求されることが多いですが、起算点の考え方は「離婚成立日」が基準となります。

したがって、どんなに過去の出来事であっても、離婚してから3年以内であれば請求できる余地があると言えます。
まずはご自身がいつ離婚したのか、お手元の書類や戸籍謄本などで正確な日付を確認することから始めてみましょう。

協議や調停など種類別の成立時期

「離婚が成立した日」と言っても、離婚の方法によってその定義は異なります。
日本では大きく分けて4つの離婚形式があり、それぞれ成立のタイミングが法律で定められています。

まず、最も一般的な「協議離婚」の場合は、市区町村役場に離婚届を提出し、それが受理された日が成立日です。
「ポストに投げ込んだ日」や「署名した日」ではなく、窓口で正式に受け付けられた日が基準となる点に注意してください。

次に、話し合いがまとまらず裁判所を通した場合は、以下のようなタイミングが成立日となります。
調停離婚であれば「調停が成立した日」、審判離婚であれば「審判が確定した日」です。

裁判による離婚(裁判離婚)の場合は、さらに注意が必要です。
判決が出たその日ではなく、上訴期間が経過して「判決が確定した日」が離婚成立日となります。

離婚の種類 離婚成立日の定義
協議離婚 役場で離婚届が受理された日
調停離婚 家庭裁判所で調停が成立した日
審判離婚 審判が下され、異議申し立てなく確定した日
裁判離婚 判決が下され、控訴期間が経過して確定した日

このように、ご自身がどの手続きを経て離婚したかによって、時効の起算日は数日から数週間のズレが生じます。
特に裁判離婚の場合は、判決から2週間程度の確定待ち期間があるため、カレンダーを正確に把握しておく必要があります。

もし正確な成立日がわからない場合は、本籍地の役所で「戸籍謄本(全部事項証明書)」を取得してみてください。
戸籍には離婚の種類と成立した日付が明記されているため、それを元に3年の期限を計算するのが最も確実な方法です。

不貞行為の慰謝料との法的な違い

離婚原因が不倫(不貞行為)だった場合、時効の考え方が少し複雑になります。
なぜなら、法律上「不貞行為による慰謝料」と「離婚による慰謝料」は別々のものとして扱われることがあるからです。

不貞行為の慰謝料は、配偶者が不倫をしたこと自体に対する損害賠償です。
この場合、時効の起算点は「不倫の事実と不倫相手を知った時」から3年となります。

一方で、不倫が原因で最終的に離婚に至った場合、それは「離婚慰謝料」としての側面を持ちます。
最高裁判所の判決によれば、たとえ不倫発覚から3年以上が経過していても、離婚してから3年以内であれば、配偶者に対して離婚に伴う慰謝料を請求できるとされています。

つまり、婚姻関係を継続しながら「不倫そのもの」を理由に請求する場合は、発覚から3年が勝負となります。
しかし、不倫が原因で結果的に家庭が壊れ、離婚に至ったのであれば、その苦痛に対する請求は離婚成立から3年まで認められる可能性があるのです。

このように、同じ不倫という出来事であっても、どの名目で請求するかによって期限の考え方が変わります。
私たちが混乱しやすいポイントですが、「配偶者への請求は離婚から3年」と考えておくと、まずは大きな間違いはありません。

ただし、相手方から「不倫慰謝料の時効はとっくに過ぎている」と反論されることも考えられます。
法的な解釈の戦いになることもあるため、こうした複雑なケースでは専門家の助言を仰ぐのが賢明でしょう。

不倫相手への請求期限に関する注意

配偶者だけでなく、不倫相手(第三者)にも慰謝料を請求したい場合は、時効のルールが一段と厳しくなります。
不倫相手への請求は「不倫の事実と相手の氏名・住所を知った時」から3年以内に開始しなければなりません。

ここで注意が必要なのは、配偶者への請求とは異なり、不倫相手への請求期限は「離婚成立日」とは連動しないのが原則だという点です。
離婚をするかしないかにかかわらず、相手を特定してから3年が経つと、不倫相手への請求権は時効で消滅してしまいます。

例えば、離婚届を出すずっと前に不倫相手が誰かを知っていた場合、離婚した時にはすでに不倫相手への時効が完成しているというケースも起こり得ます。
「離婚してから一緒に請求しよう」とのんびり構えていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。

請求対象 時効の起算点(スタート時期) 期間
元配偶者 離婚が成立した日 3年
不倫相手 不倫の事実と相手の氏名等を知った時 3年

このように、請求する相手によってタイムリミットがバラバラになる可能性があることを覚えておきましょう。
不倫相手への責任追及も考えているのであれば、離婚の手続きと並行して早めに証拠集めや相手の特定を進めることが大切です。

もし不倫相手の連絡先がわからない場合は、弁護士による照会手続き(弁護士会照会)などで判明することもあります。
時間が経つほど記憶も証拠も風化してしまうため、可能な限り早めに専門家へ相談することをおすすめします。

不倫相手への請求を検討する際、特に気をつけるべき点は以下の通りです。

  • 相手のフルネームや住所(または勤務先)がわかっているか
  • 不倫の事実を知った日を客観的に証明できるか
  • 相手から「もう3年経った」と言われないタイミングか

DV被害による損害賠償の期間

DV(ドメスティック・バイオレンス)や暴力が離婚原因である場合、時効の期間は通常の3年よりも長くなるケースがあります。
2020年の民法改正により、人の生命または身体を害する不法行為の時効期間が延長されたためです。

身体的な暴力による損害賠償請求の時効は、損害および加害者を知ったときから「5年」と定められています。
これは被害者の救済をより手厚くするための措置であり、DV被害者にとって重要な変更点と言えるでしょう。

ただし、ここで一つ重要な区別があります。
殴られたことによるケガの治療費や苦痛に対する「身体的損害」は5年ですが、離婚すること自体の「精神的苦痛」は依然として3年の時効が適用される可能性が高いという点です。

つまり、DVを理由に離婚慰謝料を請求する場合、すべてが5年になるわけではありません。
法的には「身体への攻撃に対する賠償」と「離婚そのものへの賠償」を分けて検討する必要があるのです。

実務上はこれらを一体として請求することが多いですが、安全を期すならばやはり「3年以内」の請求を基本戦略とすべきでしょう。
5年という期間に甘えてしまうと、肝心の離婚慰謝料の部分が時効にかかってしまうリスクがあるからです。

DVのケースでは、被害者が精神的に追い詰められ、期限を気にできる状態にないことも少なくありません。
まずはご自身の身の安全を最優先にした上で、公的な支援窓口や法律事務所などの力を借りながら手続きを進めていくことが大切です。

20年の経過で権利が消滅する除斥期間

時効には3年(あるいは5年)という期間の他に、もう一つの大きな壁が存在します。
それが、不法行為が行われた時から「20年」という長期の期間です。

これは以前の法律では「除斥期間(じょせききかん)」と呼ばれており、改正後も「20年の経過による権利の消滅」として存続しています。
たとえ加害者が誰かを知らなくても、不倫やDVといった行為自体があった時から20年が経つと、原則として賠償請求は一切できなくなります。

「3年の時効は知っていたけれど、20年も前のことは関係ないだろう」と思われるかもしれません。
しかし、長年の別居を経てから離婚する場合などは、この20年という数字が重みを持ってくることがあります。

例えば、25年前に一度だけ不倫があり、その後ずっと別居していて今さら離婚する場合を考えてみましょう。
離婚から3年以内であっても、不倫行為そのものから20年以上が経過していると、その不倫を理由にした慰謝料請求は認められない可能性が極めて高いです。

20年という歳月は、法律上「事実関係を確定させるのが困難」と判断される一つの区切りとなります。
証拠の散逸や記憶の曖昧さを考慮し、法的な争いに終止符を打つための強力なルールなのです。

ほとんどのケースでは3年の時効が先に問題となりますが、過去の出来事に遡って請求を考えている方は注意が必要です。
20年という期限は中断させることが難しいため、古い出来事については早急に専門家の見解を仰ぐようにしてください。

離婚慰謝料の時効の進行を止める手段

  • 時効援用をされると請求権を失う
  • 内容証明郵便による催告の効果
  • 裁判上の請求で時効をリセットする
  • 義務を認めさせる債務承認の重要性
  • 話し合いの継続を合意書面に残す
  • 3年が経過する前に検討すべき対策
  • 法的手段の準備を早めに始める理由

時効援用をされると請求権を失う

「時効の期間が過ぎたら、自動的に慰謝料を払わなくて済む」と思われがちですが、実はそうではありません。
時効を完成させるには、相手方が「時効なので支払いません」という意思表示をする必要があります。これを「時効の援用(えんよう)」と呼びます。

裏を返せば、たとえ離婚から3年以上が経過していても、相手が時効の存在に気づかずに支払いに応じるのであれば、それは法的に有効な支払いとなります。
しかし、実際には多くのケースで相手が時効を主張し、支払いを拒否するのが通例です。

時効援用は、口頭でも成立しますが、実務上は内容証明郵便などの証拠が残る形で行われることが一般的です。
一度正式に援用されてしまうと、後から「やはり請求したい」と思っても、裁判で勝つことは極めて困難になります。

私たちがまず理解すべきなのは、時効は単なる「時間の経過」だけではなく、相手の「主張」によって効力を持つという点です。
相手に時効のチャンスを与えないために、期限が来る前に対策を打つことが何よりも重要です。

もし相手が「もう時効だ」と言い始めているのであれば、状況は非常に切迫しています。
その主張が法的に正しいのか、まだ時効を阻止できる余地はないのか、一刻も早く弁護士に判断を仰いでください。

なお、時効についての正確な情報は、必ず法務省などの公式サイトや専門家の見解を確認するようにしましょう。
ネット上の断片的な情報だけで「もうダメだ」と諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。

内容証明郵便による催告の効果

「あと数日で3年が経ってしまう!」という緊急事態に、最も手軽で強力な武器となるのが内容証明郵便です。
これを使って相手に請求を行うことを、法律上「催告(さいこく)」と呼びます。

催告を行う最大のメリットは、時効の完成を一時的に「6ヶ月間」だけ先延ばしにできる点にあります。
内容証明郵便は「いつ、誰が、誰に、どのような内容を伝えたか」を郵便局が公的に証明してくれるため、相手に「そんな請求は受けていない」とは言わせません。

ただし、ここで注意が必要なのは、催告はあくまで「一時しのぎ」に過ぎないという点です。
この6ヶ月の猶予期間の間に、裁判を起こしたり、相手と正式な合意をしたりしなければ、結局は時効が完成してしまいます。

手段 時効への影響 注意点
内容証明での催告 6ヶ月間の完成猶予 一度しか使えません。その間に次の手を打つ必要があります。
口頭での請求 証明が困難 言った言わないのトラブルになりやすく、法的効果が弱いです。

このように、内容証明郵便は時効を完全に止める「魔法の杖」ではなく、「時間を稼ぐための手段」として理解してください。
稼いだ時間の間に、証拠を整理し、訴訟の準備を整えるのが正しい戦略です。

また、催告は何度も繰り返して時効を延ばし続けることはできません。
一度催告をして6ヶ月延びた後、さらに催告をしても追加の延長は認められないというルールがあります。

時効ギリギリで焦って内容証明を送る際は、文面のミスが許されません。
できれば事前に専門家のチェックを受け、確実に時効を遅らせることができる内容に仕上げるようにしましょう。

内容証明郵便を利用する際のメリットは以下の通りです。

  • 公的な記録が残るため、請求した事実を否定されない
  • 相手に心理的な圧力を与え、話し合いのテーブルに就かせることができる
  • 裁判所に行かずとも、即座に時効完成を猶予させられる

裁判上の請求で時効をリセットする

時効を一時的に止めるだけでなく、時計の針をゼロに戻して再スタートさせる方法があります。
その代表的な手段が「裁判上の請求」、つまり訴訟の提起や調停の申し立てです。

結論を言えば、裁判所に慰謝料請求の訴えを起こすと、その時点で時効の進行はストップします。
そして、無事に勝訴判決を得てそれが確定すれば、そこから新たに「10年」の時効期間が始まるのです。

これを法律用語で「時効の更新(こうしん)」と呼びます。
単なる延長ではなく、完全にリセットされるわけですから、非常に大きな効果があると言えるでしょう。

調停の場合も同様で、申し立てを行った時点で時効の完成が猶予されます。
調停が成立すれば、その調停調書は判決と同じ効力を持つため、同じく10年の時効期間が新たに動き出します。

「裁判は時間もお金もかかる」と敬遠される方も多いですが、時効を確実に防ぐには最も確実な方法です。
話し合いが決裂しそうな場合や、相手が意図的に時間を稼いでいると感じる場合は、早めに裁判所の手続きを検討すべきです。

なお、裁判を起こしても取り下げたり、訴えが却下されたりした場合には、リセット効果は得られず、一定期間の猶予のみとなってしまいます。
裁判上の手続きは専門性が非常に高いため、弁護士と連携して慎重に進めることが不可欠です。

義務を認めさせる債務承認の重要性

裁判をしなくても時効をリセットできる、もう一つの強力な方法が「承認(しょうにん)」です。
これは、相手方が慰謝料の支払い義務があることを認めることを指します。

具体的には、「慰謝料として100万円支払うことに同意します」という念書を書かせたり、あるいは「今は全額払えないから、とりあえず1万円だけ払う」と一部の支払いをさせたりすることです。
このように、債務があることを認める言動があれば、その時点で時効はリセットされ、またゼロから3年が数え直しになります。

私たちが交渉の現場で意識すべきなのは、相手に少しでも支払い義務を認めさせることです。
一円でも支払わせる、あるいは支払いについて前向きな返答をメールやLINEで残させることが、時効を食い止める大きな証拠となります。

承認とみなされる例 効果
慰謝料の支払いを約束する書面への署名 時効がリセット(更新)される
慰謝料の一部を実際に振り込む 支払った時点で時効がリセットされる
「支払うので待ってほしい」という猶予の申し入れ 債務の承認となり、時効がリセットされる

このように、「承認」は相手の自発的なアクションを引き出すことがポイントになります。
ただし、相手が「これは慰謝料ではなく、単なる貸付金の返済だ」などと後から言い逃れをすることもあります。

そのため、承認を得る際には、それが「離婚に伴う慰謝料の支払いであること」を明記した書面を残すのがベストです。
書面化が難しい場合でも、録音やメッセージの保存など、客観的な証拠をしっかり確保しておきましょう。

承認を確実に証拠化するための工夫は以下の通りです。

  • LINEやメールで「慰謝料の件」であることを明示してやり取りする
  • 話し合いの内容をICレコーダーなどで録音しておく
  • 金額は確定しなくても「支払う意思があること」を認めさせる

話し合いの継続を合意書面に残す

「裁判をするほどではないけれど、話し合いが長引いて時効が心配」という場合に有効なのが、協議を行う旨の合意書面です。
これは、慰謝料について継続して話し合うことを双方が書面で約束する制度です。

この合意書面を交わすと、その時から1年間(あるいは合意で決めた期間)は時効が完成しなくなります。
お互いに冷静に話し合いを続けたいけれど、期限が気になって落ち着かないという状況にはぴったりの解決策です。

ただし、この合意には厳格なルールがあります。
必ず「書面」で行う必要があり、口約束では効果が認められません。また、この延長効果を何度も繰り返して時効を永久に止めることもできません。

私たちがこの手段を選ぶメリットは、相手に対して「裁判は避けたいけれど、時効は守らせてほしい」という誠実な姿勢を示せる点にあります。
強硬に内容証明を送るよりも角が立たず、建設的な議論を進めやすくなるかもしれません。

一方で、相手がこの合意書面への署名を拒否する可能性もあります。
その場合は、相手に話し合う意思がないと判断し、速やかに内容証明の送付や裁判の準備へ切り替える決断が必要です。

合意書面の作成には細かい法的ルールが関わるため、後で「無効だ」と言われないよう、作成時には専門家のリーガルチェックを受けることを強くおすすめします。
大切な約束を確実なものにするために、プロの知恵を活用しましょう。

3年が経過する前に検討すべき対策

時効のカウントダウンが進む中で、具体的にどのようなステップで動くべきか整理しておきましょう。
結論として、時効が迫っている場合は「待つ」のではなく「攻める」姿勢が求められます。

まず最初に行うべきは、現状の把握です。離婚成立日がいつで、あと何ヶ月残っているのかを正確に算出してください。
その上で、相手に支払い意思があるかどうかを打診し、反応を見極める必要があります。

もし相手が不誠実な対応を続けているのであれば、迷わず内容証明郵便を送る準備をしましょう。
これだけで6ヶ月の時間が稼げます。その間に弁護士を選定し、訴訟や調停の戦略を練るのが最も賢明な流れです。

「自分一人でなんとかしよう」と抱え込んでしまうのが一番の危険です。
法的な手続きには書類の不備や期限の計算ミスなどのリスクが常に付きまといます。特に残り期間が半年を切っている場合は、もはや一刻の猶予もありません。

以下のリストは、時効完成前に最低限チェックしておきたい項目です。
これらを一つずつクリアしていくことで、取り返しのつかない事態を防ぐことができるでしょう。

  • 戸籍謄本で正確な「離婚成立日」を確認したか
  • 慰謝料の根拠となる証拠(不倫写真、診断書など)は揃っているか
  • 相手の現在の住所や連絡先を把握しているか
  • 信頼できる弁護士や法律相談の予約を入れたか

時効というハードルを乗り越えるには、スピード感が不可欠です。
「明日でいいや」を繰り返さず、今日この瞬間に最初の一歩を踏み出すことが、あなたの正当な権利を守ることに繋がります。

法的手段の準備を早めに始める理由

なぜ「早めに」準備を始める必要があるのでしょうか。それは、法的な手続きには想像以上に時間がかかるからです。
「3年経つ前日に裁判所に行けばいい」と考えていると、思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。

例えば、訴状を作成するには証拠の精査が必要ですし、弁護士との打ち合わせも数回は必要になります。
相手の住所が不明であれば調査の時間もかかります。これらを時効直前にこなそうとするのは、現実的ではありません。

また、余裕を持って準備を始めることで、交渉を有利に進められる可能性も高まります。
期限に追われていると、どうしても相手の提示した低い金額で妥協してしまいがちですが、時間に余裕があればじっくりと正当な金額を主張できます。

精神的な負担を軽減するという意味でも、早めの準備は重要です。
「時効が来たらどうしよう」という不安を抱えたまま過ごすよりも、専門家に任せて「あとは手続きが進むだけ」という状態にする方が、はるかに心穏やかに過ごせます。

さらに、早めに請求の意思を示すことで、相手が財産を隠したり、逃げたりするのを防ぐ効果も期待できます。
裁判所を通じた「保全処分」などの強力な手段も、時間的余裕があってこそ検討できる選択肢です。

最終的な判断を誤らないためにも、正確な法律知識に基づいた行動を心がけましょう。
ご自身だけで判断せず、公式サイトなどで最新の法改正情報を確認したり、専門家の無料相談を活用したりすることを強く推奨します。

離婚の慰謝料と時効の重要事項まとめ

  • 離婚慰謝料の消滅時効は離婚成立から原則3年
  • 身体への暴力がある場合の損害賠償は5年の可能性あり
  • 不法行為の時から20年が経過すると権利自体が消滅する
  • 協議離婚は受理日、裁判離婚は確定日が時効のスタート
  • 不倫相手への請求は相手を知った時から3年で別カウント
  • 内容証明郵便を送ることで6ヶ月間時効を猶予できる
  • 裁判上の請求や調停申し立てにより時効をリセット可能
  • 相手が支払いを一部でも認めれば承認となり時効は更新
  • 話し合いを継続する合意書面でも一定期間の猶予が得られる
  • 時効が近い場合は速やかに弁護士などの専門家に相談を

よくある質問

離婚してからもうすぐ3年ですが、今からでも間に合いますか?

はい、3年を経過する前であれば間に合う可能性があります。まずは内容証明郵便を送付して「催告」を行うことで、一時的に時効の完成を6ヶ月遅らせることができます。その間に急いで裁判などの手続きを準備しましょう。

別居して5年経ってから離婚しましたが、不倫の慰謝料は取れますか?

配偶者に対する「離婚慰謝料」として請求する場合、離婚成立から3年以内であれば認められる可能性があります。ただし、不倫相手への請求は発覚から3年で時効となるため、相手や状況によって判断が異なります。早めに専門家へ相談してください。

相手が「お金がない」と言って逃げている間に時効になりますか?

相手の経済状況に関わらず、時間は経過し時効は進みます。しかし、相手が「今は払えないけれど後で払う」といった趣旨の発言や書面を残せば「承認」となり、時効をリセットできる場合があります。証拠を確実に残しておくことが重要です。

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