離婚の養育費を公正証書で守るメリット|不払い時の強制執行を解説

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離婚を考えたとき、多くの方が不安に感じるのが「子どもの養育費を最後までしっかり払ってもらえるだろうか」ということではないでしょうか。
お互いに話し合って決めたはずの約束も、生活環境の変化や再婚などによって、将来的に途絶えてしまうケースは決して少なくありません。

そんな不安を解消するために欠かせないのが、離婚に関する合意内容を公的な書類として残す「公正証書」の作成です。
私自身、情報を整理するなかで、この公正証書が持つ法的な力の強さを改めて実感しています。

公正証書を正しく作成しておくことで、もし支払いが滞った場合でも、裁判を通さずに相手の財産を差し押さえるといった強力な対応が可能になります。
この記事では、養育費に関する公正証書のメリットや具体的な作成手順、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

これから新しい人生を歩み出すあなたと、大切なお子さんの生活を守るための道しるべとして、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
なお、個別の事案については状況が異なるため、正確な情報は公式サイトを確認し、最終的には弁護士や公証役場などの専門家へ相談することをお勧めします。

記事のポイント

  • 公正証書を作成することで未払い時の強制執行が可能になる点
  • 私的な離婚協議書よりも証拠力が高く紛失や改ざんのリスクが低い点
  • 養育費だけでなく慰謝料や財産分与などの条件も一括でまとめられる点
  • 公証役場での手続きの流れや必要書類など具体的な作成ステップ

離婚の養育費を公正証書で定めるメリット

  • 公的な文書としての証拠力と拘束力
  • 裁判なしで給与を差し押さえる強制執行
  • 執行受諾文言が持つ実務上の重要性
  • 紛失や改ざんを防止する原本保管
  • 条件の誤解を招かない明確な合意
  • 子どもの将来を支える生活保障の役割
  • 慰謝料や面会交流も一括で記載可能

公的な文書としての証拠力と拘束力

公正証書は、法律の専門家である「公証人」が当事者の立ち会いのもとで作成する公的な文書です。
民事訴訟法においても、公正証書は「真正に成立したもの」と推定されるため、裁判上の証拠能力が極めて高いのが特徴ですね。

当事者だけで作成した離婚協議書(私文書)の場合、後になって「そんなことは言っていない」「無理やり書かされた」といった反論をされるリスクがあります。
しかし、公正証書は公証人が本人確認を行い、自由な意思に基づいているかを確認した上で作成するため、内容を否定することは非常に困難です。

また、公正証書には強力な拘束力があり、一度作成した内容は簡単に変更することができません。
この法的な「重み」があるからこそ、支払う側にも「必ず守らなければならない」という心理的なプレッシャーを与える効果が期待できます。

一般的な離婚協議書と公正証書の違いを整理すると、以下の表のようになります。
このように比較してみると、公正証書の信頼性の高さがよくわかりますね。

比較項目 私的な離婚協議書 公正証書
作成者 本人たち(または弁護士等) 公証人(公務員)
証拠能力 争いになる可能性がある 極めて高い(真正と推定)
強制執行 裁判をして判決を得る必要がある 裁判なしで直接実行できる
保管場所 自宅(紛失のリスクあり) 公証役場(原本を長期保管)

信頼できる文書として残すことは、離婚後の無用な争いを防ぐための第一歩と言えるでしょう。
将来にわたる金銭の支払約束だからこそ、確かな証拠力を備えた文書にしておく価値があるのです。

裁判なしで給与を差し押さえる強制執行

養育費を公正証書にする最大のメリットは、何と言っても「強制執行」がスムーズに行える点にあります。
もし相手が養育費の支払いを止めてしまった場合、通常であれば裁判を起こして判決を得るまで差し押さえはできません。

しかし、一定の条件を満たした公正証書があれば、裁判を経ることなく、すぐに相手の財産を差し押さえる手続きに移れます。
この「裁判なしで」という点が、精神的にも金銭的にも大きな負担軽減につながるのです。

差し押さえの対象として最も効果的なのが、相手の「給与」や「預貯金」です。
特に給与の差し押さえは、勤務先から直接支払われることになるため、回収の確実性が非常に高まります。

強制執行によってどのような資産が対象になるのか、一般的な目安をまとめてみました。
実際にどの財産を狙うべきかは、相手の職業や生活状況によって判断する必要があります。

差し押さえ対象 特徴とメリット
給与(月給・ボーナス) 継続的に回収が可能。勤務先に通知がいくため心理的効果も大きい
預貯金 銀行口座にある残高を一括で回収できる。スピード感が重要
生命保険の解約返戻金 相手が積み立てている保険を解約させて回収する手法
不動産(自宅など) 金額が大きい場合に有効だが、手続きが非常に複雑で時間がかかる

未払いが始まったときに、すぐに動ける手段を持っているかどうかは、受け取る側の安心感に直結しますね。
子どもの生活費を途絶えさせないための、まさに「守りの盾」となる仕組みと言えるでしょう。

執行受諾文言が持つ実務上の重要性

公正証書を作ればどんなものでも強制執行ができるわけではない、という点には注意が必要です。
証書の中に「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」という特定のフレーズが含まれている必要があります。

これは、「もし支払いを怠ったときは、直ちに強制執行を受けても異議はありません」という内容を、支払う本人が承諾したことを示す文言です。
この一文が入っていない公正証書は、単に「強い証拠」としての機能しか持たず、直接的な差し押さえはできません。

実務においては、この文言の有無が公正証書の価値を決定づけると言っても過言ではないでしょう。
公証役場で案を作成する際には、必ずこの文言が盛り込まれているかを確認するようにしてください。

この文言があることで、私たちがどのようなメリットを享受できるのか、改めてポイントを整理しました。

  • 裁判所に訴訟を提起する手間と費用を完全にカットできる
  • 未払いが発生した直後に執行文の付与を申し立て、迅速に差し押さえができる
  • 支払う側に「逃げられない」という強い自覚を持たせることができる

言葉一つでその後の効力が大きく変わってしまうのは、法律の世界ならではの厳格さですね。
せっかく費用と時間をかけて作成するのですから、実効性のある内容に仕上げることが非常に大切かなと思います。

最終的な文言のチェックは公証人が行ってくれますが、自分でもその重要性を理解しておくことで、より主体的に手続きを進められるはずです。
もし不安があれば、作成前に専門家のアドバイスを受けることも検討してみてください。

紛失や改ざんを防止する原本保管

公正証書が優れているもう一つのポイントは、書類の管理体制が非常に厳格であることです。
作成された公正証書の「原本」は、作成した公証役場において原則として20年間(実務上はそれ以上の場合もあり)大切に保管されます。

当事者の手元には「正本」や「謄本」という写しが渡されますが、もしこれらを失くしてしまっても、公証役場で再発行を受けることが可能です。
自分たちだけで作った離婚協議書だと、どちらかが紛失したり、誤って破棄したりすると、合意を証明する手段がなくなってしまいますよね。

また、公的な機関が管理しているため、相手が勝手に内容を書き換えたり、不利な条項を消したりする「改ざん」の心配も一切ありません。
離婚後の長い年月の間には、お互いの関係性が変わってしまうこともあるでしょうが、書類の信頼性は揺るぎません。

ここで、書類の保管に関する安心ポイントをまとめてみました。

  • 火災や災害などのリスクにも備え、公証役場という安全な場所で保管される
  • 原本は役場にあるため、手元の写しに何を書き込んでも法的な原本は守られる
  • 再発行が可能なので、引っ越しなどで紛失しても権利が消滅することはない

「紙一枚」のことではありますが、その一枚が子どもの将来を左右する重要な重みを持っています。
私たちが自宅で大切にしまっておくよりも、はるかに高いレベルで安全が保証されているのは、大きな安心材料になりますね。

公正証書という仕組みを利用することで、物理的な紛失リスクからも解放されるのです。
長期間にわたる養育費の支払いにおいて、この「変わらない安心」は非常に大きなメリットだと言えるでしょう。

条件の誤解を招かない明確な合意

公正証書を作成する過程では、公証人が中立的な立場から当事者の意思を確認し、法律的に整理された文章へと落とし込んでくれます。
これにより、「そんなつもりで言ったのではない」「言葉の意味を勘違いしていた」といった、合意内容の食い違いを防ぐことができます。

自分たちだけで話し合っていると、どうしても感情的になったり、曖昧な言葉で済ませてしまったりすることがありますよね。
しかし、公正証書では支払日、金額、支払い方法、さらには未払い時のペナルティなどが、誰が見ても一目瞭然な形で明文化されます。

このように条件を明確にすることは、支払う側にとっても「何をすべきか」がはっきりするため、トラブルの火種を最小限に抑える効果があります。
「言った・言わない」の泥沼の争いを避けるために、第三者の目が入ることは非常に有効な手段なのです。

合意内容を明確にするために、公正証書で一般的に記載される項目の例を以下の表にまとめました。
これらを一つずつ丁寧に確定させていく作業が、将来の平穏な生活につながります。

記載項目 具体例・明確化すべき内容
支払額 子ども1人につき月額◯万円、あるいは総額での指定
支払日 毎月◯日、または月末までなど、期限を特定する
振込先 受け取り側の銀行名、支店名、口座番号、名義人
支払い期間 20歳まで、または大学卒業の22歳までなど、終期を定める

曖昧さを排除した厳格な契約書を作成することは、お互いの新しい生活を尊重し合うためのエチケットとも言えるかもしれません。
誠実な合意形成を形にすることで、離婚後のコミュニケーションも幾分スムーズになる可能性があるかなと思います。

子どもの将来を支える生活保障の役割

養育費は、子どもが親と同じ水準の生活を送るために認められた、子ども自身の権利です。
決して親の「好意」や「お小遣い」ではなく、生きるために不可欠な生活保障としての性格を持っています。

それにもかかわらず、実際には離婚から数年が経過すると、支払いが滞ってしまうケースが非常に多いのが現状です。
公正証書にしておくことは、こうした「もしも」の事態から子どもの生活を守るための、最強の防衛策となります。

教育費や医療費など、子どもが成長するにつれて必要なお金は増えていくものですよね。
そんなとき、毎月決まった額が確実に振り込まれるという確信があれば、育てる側の親も安心して子育てに専念できるのではないでしょうか。

養育費が果たす具体的な役割について、改めて考えてみましょう。

  • 日々の食事や衣服、住居費などの基本的な生活を維持する原資
  • 習い事や塾、進学費用など、子どもの可能性を広げるための教育資金
  • 突然の怪我や病気、将来の備えとしての安心感の提供

子どもには、両親が離婚したとしても変わらずに健やかに成長する権利があります。
公正証書を作成する手続きは少し大変かもしれませんが、その労力はすべて「子どもの笑顔と未来」に直結しています。

親としての責任を法的な形に残すことは、子どもに対する最大の愛情表現の一つかもしれませんね。
私たちができる最善の準備として、この公正証書という手段を検討する価値は十分にあります。

慰謝料や面会交流も一括で記載可能

離婚の公正証書には、養育費のことだけではなく、離婚に伴う他の条件も一括して盛り込むことができます。
例えば、不貞行為や暴力などが原因の場合の「慰謝料」、夫婦で築いた財産を分ける「財産分与」、そして離れて暮らす親が子どもと会う「面会交流」などです。

これらを別々の約束にするのではなく、一つの公正証書にまとめることで、離婚条件の全体像が明確になり、法的拘束力も全体に及びます。
特に慰謝料や財産分与も金銭の支払いが発生するため、養育費と同様に「強制執行認諾文言」を付けておけば、未払い対策として完璧ですね。

また、面会交流のルールを定めておくことは、離婚後の親子の関わり方を安定させるために非常に重要です。
「月に何回会うのか」「連絡方法はどうするのか」といった細かな取り決めも、公的な文書にしておけば安心です。

養育費以外に含まれることが多い主な条項は以下の通りです。

  • 離婚することへの双方の合意(離婚合意)
  • どちらが子どもを育てるかという「親権者」の指定
  • 年金分割に関する合意事項(将来の年金受取額に関わる)
  • 「清算条項」といって、この書面以外にはお互い何も請求しないという最終確認

これらすべてをプロの目でチェックしてもらいながら一つの書類にまとめることで、離婚に関する問題に「終止符」を打つことができます。
後から小出しに問題が出てくるのを防ぎ、スッキリと新しい生活を始めるためにも、包括的な公正証書の作成をお勧めします。

一つひとつは小さな取り決めかもしれませんが、それらが積み重なることで、大きな安心感となってあなたを支えてくれるはずです。
ぜひ、養育費だけでなく総合的な視点で内容を検討してみてください。

離婚の養育費を公正証書にする作成手順

  • 月額料金や支払い期間の具体的な決め方
  • 入学金や医療費など特別費用の扱い
  • 振込先や支払日を詳細に定める重要性
  • 公証役場での相談から完成までの流れ
  • 印鑑証明書や戸籍謄本など必要な書類
  • 離婚後に公正証書を作成する際の注意点
  • 公序良俗に反する内容は記載できない

月額料金や支払い期間の具体的な決め方

養育費の金額を決める際、多くの人が参考にしているのが裁判所が公表している「養育費算定表」です。
これは、支払う側と受け取る側のそれぞれの年収や、子どもの人数・年齢をもとに算出される一般的な目安となります。

ただし、この算定表はあくまで「標準的な指標」に過ぎません。
私たちが実際に決める際には、私立学校への進学予定や習い事の状況など、それぞれの家庭の事情を柔軟に考慮して合意して良いのです。

金額が決まったら、次に大切なのが「いつまで支払うか」という支払い期間(終期)の設定です。
「20歳に達するまで」とするのが一般的ですが、最近では大学進学を考慮して「22歳に達した後の最初の3月まで」とするケースも増えていますね。

支払い期間に関する代表的なパターンを以下の表にまとめました。
将来の教育プランに合わせて選ぶことが大切です。

設定パターン 特徴とメリット
20歳に達するまで これまでの成人年齢に基づいた最も標準的な設定
18歳(高校卒業)まで 卒業後すぐに就職する場合などに選ばれる
22歳(大学卒業)まで 大学進学が前提となる場合、教育費の確保に有効
満◯歳に達する日の属する月 月の途中であっても、その月の分までは支払われるよう明確化

金額も期間も、一度公正証書にすると「やっぱり変えたい」と思っても相手の同意がなければ難しくなります。
将来の収入の変化や子どもの進路を想像しながら、無理のない、かつ十分な内容を慎重に話し合うことが重要かなと思います。

入学金や医療費など特別費用の扱い

毎月の養育費だけではカバーしきれない大きな出費についても、あらかじめルールを決めておくことが推奨されます。
これを「特別費用」と呼び、大学の入学金、高額な医療費、矯正歯科の費用などが代表的な例ですね。

公正証書には「特別な費用が発生したときは、双方で誠実に協議して分担を決める」といった抽象的な文言を入れることが多いです。
しかし、より確実性を高めたい場合は、「入学金は折半とする」「事前に同意した費用の◯割を負担する」など、より踏み込んだ記載をすることもあります。

こうした取り決めがないと、いざ大きな支払いが必要になったときに「月々の養育費の範囲内でやってほしい」と拒否されてしまうかもしれません。
子どもの成長に伴う急な出費で慌てないために、あらかじめリスクを分散させておくのが賢い選択と言えるでしょう。

特別費用として検討すべき主な項目を整理しました。

  • 高校・大学などの受験料や入学金、授業料の不足分
  • 入院を伴うような大きな病気や怪我の治療費
  • 部活動の遠征費や、留学などの特別な教育活動費

すべてを細かく決めすぎるのも大変ですが、少なくとも「話し合いの場を持つこと」を義務付けておくだけでも心理的なハードルは下がります。
「その時になってみないとわからない」という部分は多いですが、可能性として視野に入れておくことが大切ですね。

もし将来、状況が大きく変わった場合には、家庭裁判所の調停などを利用して増額や減額を求めることもできます。
ですが、まずは公正証書で土台をしっかり固めておくことが、子どもへの責任を果たすことにつながるはずです。

振込先や支払日を詳細に定める重要性

養育費の受け取りをスムーズにするためには、事務的な詳細をきっちりと決めておくことが欠かせません。
支払日は「毎月25日」や「毎月末日」など、特定の日を指定することで、遅れが生じたときにすぐに気付くことができます。

また、振込先口座についても、銀行名や支店名だけでなく、口座番号や名義人を正確に公正証書へ記載します。
もし将来、受取側の名字が変わったり、引っ越しで口座を変更したりする可能性がある場合は、その際の通知義務もセットで定めておくと安心ですね。

細かなルールですが、これらが曖昧だと「振り込んだはずだ」「いや届いていない」といった小さなトラブルが積み重なり、関係が悪化する原因になります。
お互いの手間を減らし、事務的に淡々と支払いが継続される環境を作ることが、長続きのコツと言えます。

支払方法の指定で気をつけるべきポイントをまとめました。

  • 振込手数料はどちらが負担するか(一般的には支払う側が負担することが多い)
  • 支払日が土日祝日の場合、その前日に振り込むのか、翌営業日なのか
  • 万が一、支払いが遅れた場合の「遅延損害金」を設定するかどうか

一見、細かすぎるように感じるかもしれませんが、法的な文書においては、こうした「細部」こそが強力な力を発揮します。
「なあなあ」にせず、事務手続きの一つとして冷静に条件を確定させていきましょう。

振込履歴が残る形にしておくことは、後で「未払いがある」と主張する際の大切な証拠にもなります。
手渡しではなく、必ず銀行振込を利用するようにし、そのための情報を正確に記載することを忘れないでくださいね。

公証役場での相談から完成までの流れ

公正証書を作るのは難しそうに感じるかもしれませんが、流れを把握してしまえば意外とシンプルです。
まずは夫婦間で離婚条件を話し合い、大まかな合意内容を記した「離婚協議書の案」を作成することから始まります。

次に、最寄りの(あるいは利用しやすい場所の)公証役場へ連絡し、事前相談の予約を入れます。
このとき、直接出向くこともあれば、電話やメール、FAXなどで原案を送ってやり取りを進めることも可能です。

公証人が内容を確認し、法的に不備がないか、公序良俗に反していないかをチェックした上で、公正証書の「正案」を作成してくれます。
内容に納得ができたら、最終的に夫婦揃って(または代理人が)公証役場へ行き、署名・捺印をして完成という運びになります。

作成までの具体的なステップを整理しました。

  • 夫婦での話し合いと合意内容の整理(メモ書きでもOK)
  • 公証役場への連絡と資料提出、内容の打ち合わせ(修正のやり取り)
  • 公証役場への出頭日の予約と当日の署名捺印(所要時間は30分〜1時間程度)

公証役場は全国どこでも利用できますので、お互いの居住地の中間地点などを選ぶのも良いでしょう。
手続きの途中で疑問があれば、公証人に直接質問することもできます。彼らは中立な立場で、法的に有効なアドバイスをくれる頼もしい存在です。

完成した公正証書を受け取るときには手数料の支払いが必要になりますが、これは子どもの将来を守るための必要経費とも言えます。
スケジュールに余裕を持って、一つひとつの工程を丁寧に進めていくことをお勧めします。

印鑑証明書や戸籍謄本など必要な書類

公証役場で手続きを進めるためには、本人確認や関係性を証明するための公的な書類がいくつか必要になります。
まず必須となるのが、発行から3ヶ月以内の「印鑑証明書」と「実印」です。公正証書は実印で捺印するのが原則ですので、事前に準備しておきましょう。

次に、夫婦の関係や子どもの情報を確認するために「戸籍謄本(全部事項証明書)」が必要になります。
また、本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの顔写真付きの身分証明書も用意しておいてください。

さらに、養育費の金額が妥当かどうかを公証人が判断する材料として、源泉徴収票や確定申告書などの「収入を証明する書類」の提示を求められることもあります。
代理人を立てる場合には、別途、委任状や代理人の本人確認書類も必要になるため、注意が必要です。

必要書類のチェックリストを作成しました。準備の際の参考にしてください。

書類名 用途・備考
印鑑証明書 発行から3ヶ月以内のもの。夫婦双方分が必要
実印 印鑑証明書と同じ印鑑。当日の署名捺印に使用
戸籍謄本 親子関係や現在の婚姻状況を確認するために必要
本人確認書類 免許証やマイナンバーカードなど。有効期限内のもの
年金分割のための情報通知書 年金分割を公正証書に盛り込む場合に必要

書類に不備があると、予約した当日に手続きができなくなってしまうこともあります。
事前に公証役場の担当者に「今回のケースで必要な書類は何ですか?」としっかり確認しておくのが一番確実ですね。

役所での書類取得には時間がかかることもありますので、早めに動き出すのがスムーズな作成のコツです。
少し手間に感じるかもしれませんが、これらを揃えることが、公的な信頼を得るための大切なプロセスになります。

離婚後に公正証書を作成する際の注意点

「離婚するときに公正証書を作らなかったけれど、今からでも作れるのかしら」と不安に思っている方もいるかもしれませんね。
結論から言うと、離婚した後であっても、双方が合意できれば公正証書を作成することは可能です。

ただし、離婚後に作成する場合はいくつか注意すべき点があります。
まず、相手がすでに新しい生活を始めていたり、感情的なしこりがあったりすると、話し合いのテーブルについてもらうこと自体が難しくなるケースがあるからです。

また、慰謝料(時効3年)や財産分与(除斥期間2年)などには、請求できる期限が法律で定められています。
養育費については子どもが自立するまで請求権がありますが、過去の未払い分を一遡って請求できるかどうかは個別の判断になるため、早めの行動が大切です。

離婚後の手続きで意識しておきたいポイントは以下の通りです。

  • まずは相手に「将来のために書面で残しておきたい」と誠実に打診する
  • 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用することも検討する
  • 過去の合意内容があるなら、当時のメールやメモなども準備しておく

もし相手が作成に応じてくれない場合でも、あきらめる必要はありません。
裁判所の調停で決まった内容は「調停証書」として残され、これも公正証書と同じように強力な強制執行力を持つからです。

どのような形であれ、曖昧な約束を確かな形へと昇華させることが、あなたと子どもの権利を守ることにつながります。
「もう遅いかも」と思わず、まずは専門家や公証役場へ相談してみることから始めてみてくださいね。

公序良俗に反する内容は記載できない

公正証書は非常に強力な文書ですが、何でも自由に書けるわけではありません。
公証人は「公序良俗に反する内容」や「法令に違反する内容」の証書作成を拒否する義務があるからです(公証人法26条)。

例えば、「養育費を1回でも遅れたら、子どもに二度と会わせない」といった条件や、「法外に高額すぎる違約金」などは、公序良俗に反すると判断される可能性があります。
また、「将来、再婚したら養育費の請求権を一切放棄する」といった、子どもの権利を不当に奪うような内容も認められないことが多いでしょう。

自分たちでは「お互いに納得しているからいいだろう」と思っていても、法律の枠組みを大きく外れることはできません。
公証人は、作成される文書が将来にわたって法的に有効であり続けるよう、中立な立場から厳しく内容をチェックしています。

作成を断られたり、修正を求められたりする可能性がある例を整理しました。

  • 犯罪行為を助長したり、個人の自由を著しく制限したりする内容
  • 法律で定められた利息制限法を超えるような高い遅延損害金
  • 親権の行使を妨げるような極端な禁止事項

公正証書は、あくまで「法に守られた約束」である必要があります。
無理な条件を押し通そうとするのではなく、法律の範囲内で、持続可能なルールを形にすることが大切です。

もし自分たちが希望する内容が通るかどうか不安な場合は、事前に弁護士などの専門家に相談するか、公証役場での事前相談で正直に話してみるのが良いでしょう。
適法でクリーンな書類に仕上げることこそが、長期的な安心を手に入れる近道になるかなと思います。

離婚の養育費を公正証書で確実にする

  • 公正証書は未払い時に裁判なしで強制執行ができる最強の武器になる
  • 強制執行認諾文言を必ず入れることが実効性を高めるための必須条件
  • 原本が公証役場で保管されるため紛失や改ざんの心配がなく安心できる
  • 算定表を参考にしつつ子どもの進路に応じた具体的な金額と期間を定める
  • 大学入学金や医療費などの特別費用についても事前に決めておくと良い
  • 振込先や支払日など事務的な詳細を明記することでトラブルを未然に防ぐ
  • 作成には印鑑証明書や戸籍謄本など複数の公的な書類準備が必要になる
  • 離婚後でも双方が合意できれば公正証書を作成することは可能である
  • 法律や公序良俗に反する内容は記載できず公証人のチェックが入る
  • 子どもの将来を守るための法的インフラとして作成を強く推奨する

よくある質問

公正証書の作成にはどれくらいの費用がかかりますか?

公証役場に支払う手数料は、記載する金額(養育費の総額など)によって決まります。一般的には数万円程度になることが多いですが、養育費の期間が長かったり慰謝料が高額だったりすると変動するため、事前に公証役場へ見積もりを依頼することをお勧めします。

相手が公証役場に来てくれない場合、一人でも作成できますか?

公正証書は原則として当事者双方が揃って署名捺印する必要があります。もし相手が来られない場合は、代理人を立てることも可能ですが、実印を押した委任状や印鑑証明書を相手に用意してもらう必要があるため、相手の協力なしに一方的に作成することはできません。

公正証書を作った後に養育費の金額を変更することはできますか?

原則として一度決めた内容は変更できませんが、双方が合意すれば新しい公正証書を作り直すことは可能です。合意できない場合でも、失業や収入の激減、子どもの進学といった「事情の変更」があれば、家庭裁判所に調停を申し立てて増減額を求めることができます。

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